当院で扱う装置について
①リンガルブラケット
1.ALIAS(アリアス)
3つの特徴
1.歯の動きが速い
摩擦が少ないためです。セルフレイゲーション方式は蓋を閉めるだけなので、摩擦が格段に少なく、歯の動きがとても早いのです。しかも、2つあるセルフレイゲーション方式の中で、最も摩擦の少ない方法を採用しています。
2.装置が小さく違和感が少ない
違和感を極力減らすよう設計されています。
3.精度が高いため、効率よく歯が動く
アリアスの溝は垂直に作られているため、歯を後ろに引っ張る時に構造的に絶対に力が抜けません。しかも、蓋の強度が他の装置に比べて格段に高く、歯の動きを効率的にコントロールします。
2.フジタブラケット
世界で初めて開発された、裏側矯正(舌側矯正)専門のブラケットです。40年以上前に藤田欣也先生によって研究開発されました。
世界で最も歴史のあるブラケットで、改良に改良を加えられ、現在は第6世代まで進化しています。
この装置のメリットは、どのような難しい症例にも対応できる機能の高さです。
他の裏側矯正(舌側矯正)の装置は、ワイヤーを通す溝(スロット)は、水平か垂直のどちらか1つだけです。
しかし、この装置にはワイヤーを通すは水平、垂直、さらにもう1つの溝があり、合わせて3つの溝があり、どのような治療にも対応できるようになっています。
ワイヤーの固定が結紮線を使用する方法なので、摩擦の面で不利な面がありますが、どのようなシチュエーションにも対応できます。
当院では、重度の難症例にはこの装置を必ず使用します。この装置のおかげで、複雑な歯並びや、難症例といわれるケースにおいても適切な治療を行うことが可能です。
3.ハーモニー
特徴
ブラケットの歯と接着する面(ベース面)まで、金属で作られる。
ワイヤーを固定する方法
蓋を締める(セルフライゲーション)方式で比較的しっかりしている。
大きさ
やや大きめで厚さがある。
メリット
・クリッピーより、蓋がかなりしっかりしている
・精度が良いので、摩擦が比較的少なめ
デメリット
・やや大きめ
・費用が高い
当院での対応
希望があれば使用しますが、アリアスで対応しています。
4.クリッピーL
ワイヤーを固定する方法
蓋を締める(セルフライゲーション)方式。蓋が壊れやすい。
大きさ
薄めだが、幅は大きめ。
メリット
厚さが薄い。
デメリット
蓋が弱く壊れやすく、ワイヤーを押さえる力が弱い。
当院での対応
必要があれば使用します。
5.リンガルブラケットの比較
フジタ | アリアス | ハーモニー | クリッピー | |
---|---|---|---|---|
スロットの数 | ★★★3方向 | ★1方向 | ★1方向 | ★1方向 |
機能の高さ | ★★★★★ | ★★★ | ★★ | ★ |
摩擦の大きさ | ★ | ★★★ | ★★★ | ★ |
滑りやすさ | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★★ |
違和感 | ★ | ★★★ | ★★★ | ★ |
6.装置別の利点欠点
表側矯正 | 裏側矯正(舌側矯正) | |
---|---|---|
審美性 | ★ | ★★★ |
歯磨きのしやすさ | ★★前歯は磨きやすいが奥歯は磨きにくい | ★★前歯は磨きにくいが奥歯は磨きやすい |
出っ歯の方 | ブラケットの厚み分さらに出っ歯になる | 唇には影響はなく、出っ歯にならない |
噛み合せが深い方 | 下顎の装置がつけにくい | 上顎の装置がつけにくい |
②マウスピース型矯正装置
ワイヤーをつけている期間を短くするために、マウスピース装置と併用します。
③インプラントアンカー
歯科矯正用アンカースクリューは、いわゆる歯の代わりになるインプラントと異なり、歯を引っ張る際の土台として使用する小さなネジです。
大きさは直径1.4~2mmぐらい、長さは6~10mmぐらいのチタン合金製です。
このネジを固定していくのですが、ただねじるだけです。固定するときは麻酔をして、およそ10分程度で終了します。
また、治療が終わった後は逆方向に回せば外せます。その際は、麻酔は必要ありません。
出っ歯の前歯を大きく引っ込めるとき、一般的に犬歯の後ろの歯を抜くことがよくあります。
そして、奥歯と前歯で引っ張り合って引っ込めるのですが、奥歯は根がしっかりしているので動きにくいのです。しかし、それでも歯を抜いた隙間の1/4は奥歯が前に寄ってきてしまい、抜いた隙間を100%前歯を引っ込めるためには使えません。
インプラントを使った場合は、インプラントと前歯で引っ張り合うので、奥歯は全く動かないため抜いた隙間を100%前歯を引っ込めるのに使うことができるのと、安心して引っ張れるので、治療期間の短縮になります。
④ラビアルブラケット
表側の透明な装置です。特色としては、摩擦が非常に少なく歯の動きが極めて速い装置です。
ワイヤーをブラケットに固定する方法がこの装置にしかなく、極めて優れています。
装置の値段が高いため費用はかかりますが、とても優れています。
⑤保定装置
矯正治療後に移動した歯を安定させるための装置です。3種類あります。
1.クリアリテーナー
歯を完全に覆う透明なマウスピースタイプの装置です。特に前歯などの細かい歯の後戻りをしっかり抑えます。日中使用していただきます。
2.Beggタイプリテーナー
歯の表側をワイヤーで抑え、裏側からはプラスティックで歯を支える装置です。
比較的しっかりした装置なので、歯列の幅を維持する能力が高いのと、噛む面が開いている分、噛み合わせがさらに改善します。
3.Fixリテーナー
歯の裏側に細いワイヤーを接着剤で直接固定する方法です。接着剤が外れない限り、歯が動かない安心感があります。
大人の方で、仕事柄、日中装置を使用できない方や、前歯の後戻りがとても心配な方に使用します。
歯の裏側に装置が付くため、歯磨きをしっかりしないと虫歯になるリスクがあります。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。 - 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。
加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると咬み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。 - 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。