裏側矯正(舌側矯正)
1.裏側矯正(舌側矯正)とは
歯の裏側に装置を装着して行う矯正治療の方法です。
世界に先駆けて日本で研究開発された日本のオリジナルの治療方法です。
2.最新の見えない矯正装置アリアス
この装置のメリットは3点あります。
- 歯の動きが速い
- 装置が小さく違和感が少ない
- 精度が高いため、効率よく歯が動く
の3点です。
1.歯の動きが速い
摩擦が少ないためです。
装置とワイヤーを固定する方法には、ワイヤーで結紮する方法と、蓋を閉める方法(セルフレイゲーション方式)の2つがあります。
ワイヤーで結紮する方法はワイヤーをブラケットに押し付けるため、摩擦が大きく歯の動きが悪いですが、セルフレイゲーション方式は蓋を閉めるだけなので、摩擦が格段に少なく歯の動きがとても早いのです。
しかも、2つあるセルフレイゲーション方式の中で、最も摩擦の少ない方法を採用しています。
2.装置が小さく違和感が少ない
犬歯までの前歯の装置の幅は圧倒的に小さく、丸い形状をしています。小臼歯から後ろは、幅は通常の装置と同じですが、薄く角が丸い形状をしています。
違和感を極力減らすよう設計されています。
3.精度が高いため、効率よく歯が動く
ワイヤーを通す溝(スロット)が、他の装置は水平に作られています。その溝を蓋で閉じる構造になっています。
それは、その方が簡単に作れるためですが欠点があります。少し専門的な話になります。前歯を後ろに引っ張るときにワイヤーに後ろ向きの力がかかりますが、それを蓋の力だけで支えるのは無理があり、力が抜けて歯の動きが悪くなります。
一方、アリアスの溝は垂直に作られているため、歯を後ろに引っ張る時に構造的に絶対に力が抜けません。
しかも、蓋の強度が他の装置に比べて格段に高く、歯の動きを効率的にコントロールします。
3.裏側矯正(舌側矯正)のメリットとデメリット
裏側矯正(舌側矯正)のメリット
1.審美性
装置が他の方から見えない。
2.快適性
出っ歯の方など、歯の表側に装置がつくとさらに唇が飛び出る、唇を閉じるときに装置にひっかかり閉じにくくなることがあるが、裏側だとそのようなことがない。
また、食事のあと装置に食べ物がひっかかってしまうが、裏側は他人から見えず他人の目を気にしなくて済む。
裏側矯正(舌側矯正)のデメリット
1.違和感
裏側の装置の場合、舌に違和感が生じやすい。しかし、表側の装置の場合は、頬や唇に違和感が生じるため、どちらの装置でも違和感はあります。
2.発音
裏側の装置の場合、舌に装置が当たるため慣れるまで発音しにくいことがあります。しかし、徐々に装置に慣れてくると話しにくさの問題は解決しますので、あまり心配しなくて大丈夫です。
3.清掃性
実は、歯磨きに関しては表も裏もどっちもどっちです。表側は、前歯は磨きやすいですが、後ろの方は頬が当たって非常に磨きにくい。一方、裏側の装置は前歯はブラインドになり磨きにくいですが、後ろの方は逆に磨きやすい。どちらも慣れだと思います。
4.ハーフリンガル
上顎を裏側、下顎を表側に装置をつける方法です。
この方法のメリットは2つあって、
- 費用が抑えられる
- 違和感が少ない
が挙げられます。
コストの高い裏側矯正(舌側矯正)が上顎だけなので、費用は抑えられます。
違和感に関しては、舌は通常、下顎の歯の内側にいるので、下顎の裏側装置に当たりやすい。しかし、下顎の装置が表側にあると、舌の違和感は大分少ないようです。
審美的な面でも、ほとんどの方の下顎の前歯は唇に隠れるため、表側に装置がついていてもあまり見えません。
5.裏側矯正(舌側矯正)のこだわり
裏側矯正(舌側矯正)は、審美的な面がアピールされますが、もちろん見えないという点はとても大切な特徴です。
しかし、本当はむし歯になりにくい、治療内容によっては表側矯正(唇側矯正)装置よりも効果が高い、予測模型を作製して装置をつくるので表側矯正(唇側矯正)よりもきれいに並ぶなどと、治療面での優位性もたくさんあります。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。 - 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。
加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると咬み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。 - 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。